許認可円滑化法 ~事業円滑化と透明性への前進~

タイ政府は、事業運営の円滑化かつ透明性の実現を妨げる問題を解決し、国の競争力を向上させるために、様々な取り組みを展開している。法整備面の問題で言えば、許認可に関する法律のほとんどが政府の管理下に置かれ、幅広い行政裁量の対象となっているため、ボトルネックが生じ、許認可手続きに時間がかかったり、先を予測できなかったりといった問題が生じている。

この実態を改善するため、国民立法議会は、仏暦2558(2015)許認可円滑化法を通過させた。同法は、全政府機関に、国民のための許認可の手引きを発行させる標準手続きを定めている。担当官は、許認可の手引きに従わない場合、懲戒処分や刑事制裁の対象となる。

同法は2015122日に官報に公布され、2015721日から施行される。主な内容は以下のとおり。

 I.       許認可の手引き

 

  • ·政府当局は、同法施行前に、次の書類を含む許認可手引きを準備しなければならない。

 

o   申請書の提出に関する規則・手順・条件

o   許認可作業の流れとスケジュール

o   申請書に添付する書類のリスト又は証拠

許認可の手引きは、申請書の提出場所に掲示し、各政府機関のウェブサイトでも公開しなければならない。

II.       申請書の提出及び審査

 

  • 各政府機関はサービス・リンク・センター(Service Link Center: SLC)を設置し、許認可に関する情報提供と、全申請書の受領を担う。
  • 申請書提出後、申請書や添付書類に不備がある場合、又はこれらの書類が要件を満たさない場合、担当官はただちに申請者へ修正を指示しなければならない。すぐに修正できない場合、担当官はその不備や補充が必要な事項、及び修正期限を記録しなければならない。また、記録票には担当官と申請者が署名し、申請者に複写を一部渡さなければならない。
  • 申請が完了した場合、又は指示どおり修正された場合、それ以上の証拠や書類を要求したり、申請書の不備や必要でない証拠や書類の未提出を理由に拒否したりすることはできない。

 

III.       担当官の義務と責任

 

  •  審査手続に関しては、許認可の手引きに示された期間以内に審査を完了させなければならない。また、担当官は、審査期間最終日から7日間以内に申請者に通知しなければならない。 

  •  遅れる場合、担当官は申請完了まで7日ごとに、書面で遅延理由を申請者に通知しなければならない。これに反する場合、担当官は、「他者の損害につながる行為や不作為」に対する罪に問われる。

 

  • 担当官の職務懈怠又は不正が申請や証拠の不備の原因である場合、懲戒処分及び刑事制裁の対象となる可能性がある。

同法公布後、内閣は、勅令にて、一定のライセンスについて、更新手続きを早めるため、更新申請を行うことなく、更新料の納付によって更新を完了させることを審議している。また、一部のライセンスについては、首相官邸の特別機関として、ワンストップ・サービスセンター(One-stop Service Center: OSSC)が設置される可能性がある。さらに、近い将来、申請書の提出及び関連手続を電子的に行うことができる範囲が広がる見込みである。

また、許認可手続を円滑化し、法律を最新状態にするために、許認可に関連する法律や手続きの改廃が必要かどうか、管轄当局は5年毎に見直さなければならない。

詳しくは、ベーカー&マッケンジーカー法律事務所までお問い合わせ下さい。