民商法典の「保証」「抵当権」の第二回改正法について

 

タイ民商法典の仏暦2557(2014)改正法(No.20)(以下、「第一回改正法)2015211日に施行され、融資・保証業がその影響を受けた。法改正の目的は、保証・抵当権の条件に関し、金融機関に対する交渉力が劣る保証人や抵当権設定者を保護することであった。保証人や抵当権設定者は、債務者の未払い債務の履行責任を負う第三者にすぎないにも関わらず、第一回改正法が個人・法人問わず、全ての保証人及び抵当権設定者に適用されることから、保証人・抵当権設定者の価値と信用力を低下させるという結果を招いていた。

そこで、特にビジネス面からこれらの問題を解決するため、保証・抵当権に関する追加改正法案(以下、「第二回改正法)が発表された。[1]

第二回改正法案は、2015514日、国民立法議会に承認され、6月か7月には官報に掲載されると思われる。

第二回改正法の主な内容

1.         法人の連帯責任

 

第一回改正法では、保証人の負担を担保に限定するため、連帯債務条項は無効とされた。しかし、現実には、オーナーや債務者の関係者が保証人となり、より望ましい条件を引き出す上で、与信・金銭支援を行うため、保証人が自発的に連帯債務者となることが多い。第一回改正法はこうした事実に即していなかった。

 

第二回改正法は、ビジネスを考慮し、適用除外規定を設け、金融機関を含む法人の保証人が連帯債務者となることを可能とした。

 

2.         債務減額による債務再編及び支払期限延長

a)      債務減額による債務再編

第一回改正法は、意図せずして、市場での債務減額による債務再編を妨げる条項が含まれていた。

まず、債権者が保証債務額に同意した場合、保証人は減額された保証金額を弁済さえすれば、「弁済時期に関係なく」保証義務から解放される。つまり、保証人は、債務再編契約で定める弁済日等に関係なく、いつでも減額後の債務を履行すればよい、ということになる。その結果、債権者が債務減額を認める可能性は低くなる。

この問題を解決するために、第二回改正法では、債権者と債務者が債務減額に合意した場合、合意から60日以内に債権者が保証人に通知し、保証人は、履行期限到来から60日以内に減額債務を履行しなければならないと改められた。ただし、債権者が債務減額契約の履行期限到来「」に保証人に通知した場合、保証人はその通知日から60日以内に履行することが認められる。

結果として、第二回改正法の下、債務減額を行う場合、保証人は常に60日間の猶予期間が与えられるということになる。

b)      支払期限の延長

第一回改正法では、債権者と債務者が保証人の了承なく支払期限延長について合意した場合、保証人は保証責任から免責される、とされた。支払期限延長により保証人が自動的に免責されるのであれば、債権者が支払期限の延長を認めることは難しいであろう。結果的に、債務者と保証人が債務再編について合意に至る可能性は下がる。

この問題を解決するため、第二回改正法は、債務者の不履行が発生した「」に債権者と債務者が保証対象債務の減額契約を締結した場合、その契約に支払期限延長についての合意が含まれていても、支払期限延長とはみなされない。つまり、保証人の了承は不要である。

さらに、第二回改正法により、金融機関又は保証事業者が保証人の場合は、債権者と債務者の間で事前に支払期限延長について合意することが可能となった。第一回改正法ではこのような事前同意は法的執行力を持たないとされていた。

まとめ

第二回改正法では、債務減額による債務再編が行われる場合、保証人は60日間の猶予期間が与えられる。この場合、保証人の同意は不要である。

また、本来の履行期限日より前に、債権者が債務者に支払期限の延長を認めた場合、延長決定時に保証人の同意が必要となる。

保証人が金融機関又は保証事業者の場合、支払期限延長について事前に同意することができる。ただし、保証人の事前同意がない場合、支払期限延長時に保証人の同意を取り付ける必要がある。

本来の履行期限日を過ぎた後での支払期限延長については、保証人の同意は不要である。

3.         同一原債務について抵当権設定者と保証人に同時になれる者

第一回改正法では、物上保証人が同一原債務の保証人にもなる契約条項は無効とされた。これは、原債務について抵当物の価値を超える責任から物上保証人を保護するためである。また、意図せずして保証人になったかのように原債務の全責任を負担させられることから保護するためでもあった。しかし、全ての抵当権設定者がこの保護を必要とするわけではない。抵当権設定者によっては、最も条件の良い信用を手に入れるために、商業的かつ意図的にこれらの責任を受け入れることを望む者もいる。

したがって、第二回改正法では、法人債務者の法的又は事実上の経営権を有する物上保証人は、同一原債務の抵当権設定者及び保証人になることができる。ただし、個別の保証契約が条件である。

上記の改正の主な内容のほか、第二回改正法は、第一回改正法の曖昧な条項をさらに明確にしている。例えば、以下の条件と矛盾する保証条項は無効と明確に定めた。

a)   債務不履行日より60日間以内に保証人へ通知することが必要。

b)   保証人は本来の履行期間に沿って支払うことが可能。

移行期間中の保証・抵当権設定契約について

第二回改正法では、第一回改正法の施行後、第二回改正法施行前の移行期間中の取引は、第二回改正法で改正される条項に反しない限り有効と定めている。

法的観点から言えば、第一回改正法で無効となった条項が、第二回改正法の施行により有効となるかは不明である。法的には、いったん無効となった取引が有効になることはない。つまり、取引が一度無効となると、その無効を撤回することはできない。従って、厳密には、第二回改正法に基づく条件を採用したい場合、第二回改正法で認められた特権や除外事項に沿って、新しい保証や抵当権の取引を行うべきである。第一回改正法で無効となる条項を含む既存の保証契約や抵当権設定契約は、第二回改正法が施行されても、無効となったものを有効に翻すことはできないと思われる。

 

[1] 追加改正法案に関しては、2015年2月のニュースレターをご参照ください。

 

Sawanee Sethsathira
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