タイの移転価格法の最新情報

タイ政府は、現在、移転価格法制の見直しを進めている。関連会社に利益を移転し納税額を減らそうとする企業の試みを防ぐためである。

今後は、一般的に、関連当事者間での物品・サービス提供に独立企業間価格を適用させることで、関連当事者への利益移転を防ぐ計画である。つまり、関連当事者間の取引価格や利益は、同一又は同等の製品やサービスを取り扱う非関連企業の取引と同等の価格や利益であるべきということである。

背景

現在、タイでは主に歳入法第65条の2(4)で移転価格について定めている。同条項によると、会社又はパートナーシップ法人(関係の有無を問わず)が、正当な理由無く、無償又は市場価格より低い価格で物品やサービス、ローンを提供した場合、税金査定官は、当該取引を市場価格にて査定する権限を有する。

移転価格の管轄・執行は、国税局国際徴税チームが担当し、市場価格算定方法が国税局命令No. Por. 113/2545にて定められている。この算定方法は、経済協力開発機構(OECD)の定める方法に沿っており、米国、日本、オーストラリア等、国際的にも認められた方法である。ただし、同命令は法律とはみなされないため、企業及びパートナーシップに対する法的効力はない。

国税局は、これまで、現行移転価格法制で利益移転を防止できると考えてきたが、実際には強制力や効率面で不十分であることが露呈していた。

法案

201557日、内閣は、歳入法典の改正法を原則承認した。これは、財務省案に基づくものであり、関連企業・パートナーシップ法人間の移転価格対策の概要を定めている。現在、法制委員会で審議中で、今後、国民立法議会の調整委員会に送られ、国民立法議会で審議される。

法案の主な内容

1.     税金査定官は、資本、経営、管理に関し直接的又は間接的に関係がある会社やパートナーシップ法人の収支を査定し、独立当事者間取引における商業的・財政的条件とは異なる条件が設定されていないかどうかを決定する権限を有する。

 

2.     査定の結果、本来の納税額を超過して納税又は源泉徴収されていた場合、関連会社・パートナーシップ法人は査定通知より60日以内、又は確定申告期限日より3年以内に還付申告ができる。

 

3.     関連する会社やパートナーシップは、資本、経営、管理における直接的又は間接的な関係を示す書類や証拠、収支の算出方法を会計年度末から150日間以内に税金査定官に提出しなければならない。期限を過ぎた場合、又は書類や証拠が不正確な場合、400,000バーツ以下の罰金が課される。

準備

新しい移転価格法が施行された後に、国税局から移転価格に関する詳細及び執行方法に関する新規則が出される。国税局は、特に移転価格問題に焦点を当てると考えられるため、課税をめぐる紛争が発生する可能性がある。こうした問題を避けるため、移転価格の検討及び事前価格確認(advanced pricing arrangement: APA)が重要となる。

国際的なプラクティスを考えると、国税局が要求する情報には以下のものが含まれるものと予想される。

1.     全ての関連会社の所在地及び資本関係を示すグローバル組織図。

2.     グループの事業の説明。例えば、グループの事業・商品・サービス、地域別市場、主要競合企業等。

3.     グループの財務情報。例えば、グループ企業のうち、タイ国内で納税するしている事業の決算書類等。

御社におかれては、改正法が審議中の今から、関連会社との取引の見直しや分析を行い、対応や準備が必要な移転価格事項を洗い出されることをお勧めする。例えば、取引条件、各社の機能とリスク、同等な独立企業間価格、また、国際取引の場合は他国の税務当局に調査を受ける可能性等を見直し・分析されたい。

今後、本件に関する進展があれば、ご報告させていただく。

Panya Sittisakonsin
Partner
panya.sittisakonsin@bakermckenzie.com

Nopporn Charoenkitraj
Associate
nopporn.charoenkitraj@bakermckenzie.com

Sirirasi Gobpradit
sirirasi.gobpradit@bakermckenzie.com