IHQ及びITCの特別税制優遇措置について

Ⅰ IHQ及びITCの概要

ASEAN経済共同体(AEC)成立を目前に控え、タイ内閣は、国際貿易や投資を促進するため、国際統括本部(International Headquarters: IHQs)と国際貿易センター(International Trading Centers: ITCs)に対する新たな税制優遇措置を承認した。同措置は、タイ国民立法議会の審議に付され、間もなく第一回審議が行われる。この措置は、税金面の制約を排除し、経済成長や事業拡大を促進することを主な目的としている。

Ⅱ IHQについて

IHQの定義

IHQは、従来の地域統括本部(Regional Operating Headquarter: ROH)に似ているが、ROHが3ヶ国以上の海外関連会社の管理を条件としていたのに対し、IHQには1ヶ国以上の海外関連会社の管理でよいとされている。また、IHQは、関連会社に対し、金融管理サービス(トレジャリーセンター機能など)や経営管理・技術サービス、その他支援機能サービスを提供することができる。

現行案に基づくIHQの主要適格要件は次のとおり。

1.     会計期間最終日に申告した払込資本金が1,000万バーツ以上であること。

2.     適格サービスを1ヶ国以上の関連会社へ提供すること。

3.     各会計期間におけるタイ国籍者に支払う営業支出額が1,500万バーツ以上であること。

また、IHQは国税局長官が規則において定める条件を遵守しなければならない。

 

IHQの税制優遇措置

1.     法人税の免税対象:

·         海外関連会社への適格サービス提供による所得。

·         海外関連会社からのロイヤルティー及び適格配当による所得。

·         IHQが所有する海外関連会社株式の譲渡によるキャピタルゲイン。

·         IHQ海外支店の所得。

·         海外での販売及び調達による所得、並びに国際取引関連のサービスによる所得。

2.     法人税の減税(税率20%→10%)対象:

·         タイ国内関連会社に提供する適格サービスによる所得。

·         タイ国内関連会社からのロイヤルティー。

·         タイ国外生産で使用するために海外関連会社に販売するタイ国内原材料・部品調達からの所得。

3.     源泉徴収税の免税対象:

·         タイ国内で事業を営まない海外親会社にIHQが支払う配当。

·         海外関連会社へ支払う借入金利息(財務管理サービス上、IHQが関連会社に融資するために借り入れた分のみが対象)。

4.     駐在員の個人所得税率は15%を維持。税率15%未満の所得に対しては、源泉徴収税15%を徴収済みであれば、当該所得を課税所得計算から除外。

5.     財務管理サービス上、国内及び海外関連会社からの融資利息所得に対する特別事業税は免税。

 

Ⅲ ITCについて

ITCの定義

ITCとは、物品、原材料、附属品などの供給及び調達機能(外国企業に対する国際貿易サービスを含む)をもつタイ国籍企業のことである。外国企業に対する国際貿易サービスを提供する場合、当該外国企業が関連会社かどうかは問わない。基本的に、ITCは、従来の国際調達センター(International Procurement Office: IPO)の条件を緩和したスキームとなっている。

現行案によるITCの条件は以下のとおりである。

1.     会計期間最終日に申告した払込資本金が1,000万バーツ以上であること。

2.     各会計期間におけるタイ国籍者に支払う営業支出額が1,500万バーツ以上であること。

IHQと同様、ITCも国税局長官が規則において定める条件を遵守しなければならない。

 

ITCの税制優遇措置

外国における販売・調達及び国際取引に関連するサービス(Out-Out)からの所得に対する法人税は免税となる。

1.     タイ国外生産活動のために海外関連会社に販売するタイ国内原材料・部品の調達(In-Out)からの所得に対する法人税は、減税(税率20%→10%)。

2.     タイ国内で事業を営まない海外親会社にITCが支払う配当の源泉徴収税は免除。

3.     駐在員の個人所得税率は15%を維持。税率15%未満の所得に対しては、源泉徴収税15%を徴収済みであれば、当該所得を課税所得計算から除外。

 

Ⅳ 税制優遇措置の期間について

IHQ及びITCへの税制優遇措置は、国税局長官承認後、会計期間15期間適用される。当該措置が承認された会計期間を1期目と数える。

 

Ⅴ その他

ROHは新方針に基づくIHQへの変更申請が可能。

 

Professor Kitipong Urapeepatanapong
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