AEC成立に向けたタイ医療機器規制の調整動向について

2015年に入り、ASEAN各国は、ASEAN経済共同体(AEC)の調和を目指して適切な枠組の確立を急いでいる。医療機器業界では既に大規模な改革が行われ、今後も多くの見直しが行われる予定である。

2013年にASEAN医療機器指令(ASEAN Medical Device Directive: AMDD) 最新版が公表されて以来、タイを含むASEAN諸国は、現行規制の見直しやAMDDの一部条項の導入を進めてきた。タイの2008年医療機器法にも、定義、分類、登録要件、市販前後の製品安全調査要件などに重大な変更が加えられた。

ここでは、既に施行されている変更、及び今後予定される変更への理解を深めるために、AMDDとタイ医療機器法の違いを見ていきたい。

定義と分類

AMDDは、タイ及び他のASEAN諸国に対して、標準化された医療機器分類基準と機器設置制度の導入を求めているが、タイ医療機器法はAMDDの規制対象項目全てを網羅しているわけではない。AMDDは人体用機器を対象としているが、タイ医療機器法は人体と動物の両方を対象としている。

AMDDは人体用医療機器をリスクレベルに応じて4分類しているが、タイ医療機器法は規制を主眼として主に3分類している。したがって、両者の分類基準は大きく異なる。AMDDでは、以下のとおり分類している。

「クラスA」機器: 「低リスク」な機器で、包帯、手術用手袋、点滴用チューブなど。

「クラスB」機器: 「中リスク」な機器で、人工歯根(インプラント)、コンタクトレンズ、妊娠検査キットなど。

「クラスC」機器: 「中高リスク」な機器で、血液バッグ、コンタクトレンズ溶液、遺伝子疾患の検査キットなど。

「クラスD」機器: 「高リスク」な機器で、医薬品搭載機器、人工心臓、HIV検査キットなど。

登録要件

前述の分類変更に加え、AMDDは、統一申請書 (Common Submission Dossier Template: CSDT) を導入し、医療機器の登録要件を標準化している。これは、複数の国で医療機器を登録する際の役所の非効率な作業を減らし、登録手続を簡素化することを目的としている。

タイをはじめ、ほとんどのASEAN諸国では、既に旧来の登録要件に代わり、ある程度CSDTを導入済みである。タイ食品医薬品局(FDA)では、多くの医療機器の登録申請にCSDTフォーマットを適用しているが、特定の製品についてはFDA専用の書類を使用しなければならない。最終的な目標は、ASEAN10ヶ国における全医療機器の登録手続を統一することである。

 

その他の要件

AMDDでは、市販後の警告システム要件も定めており、加盟国はこれらの要件を採用するか、又は既存の規定をAMDDに合わせて調整する必要がある。タイ医療機器法によると、医療機器の誤作動や消費者への悪影響が予想される場合、発生場所が国内か国外かを問わず、医療機器事業者はタイFDAへ報告しなければならない。また、その是正プロセスについても報告が必要である。現在、タイFDAで省令の制定作業が進められている。(次回は、製品の安全調査要件についてお知らせする。)

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